2020年 04月 02日

整理解雇の四要件 ~解雇回避努力と雇用調整助成金

新型コロナウィルス感染防止のための自粛要請が続く中、既に解雇や雇い止め、内定取消が増えています。3月末の時点で1,000人を超す被解雇者等が出ているとの報道もありました。

本来解雇を行う場合には就業規則の解雇事由に該当することが必要です。一般的には労務不能、勤怠不良、規律違反、業務命令違反などに当たる事が必要です。そして、その上で解雇権濫用法理により当該解雇が客観的に合理的理由があり、社会通念上相当であると認められることが必要です。はたから見て合理的で、処分も相当だと言えることが必要ということですよね。労働契約法16条は「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と定めています。挙証責任の関係等で回りくどい言い回しになっていますが、判例法理が確立し労働契約法に規定されました。裁判等になると濫用でないと主張・立証するのは相当大変です。普段から懲戒処分等を文書でこまめにしておくことをお勧め致します。

上記は通常の解雇ですが、これとは別に「整理解雇」というものも判例実務上認められています。整理解雇とは経営不振による人員整理を解雇によって行うというものです。所謂リストラです。整理解雇の要件として、判例法理上次の4つの要件が必要とされています。

①人員削減の必要性 ②解雇回避努力 ③人員選定の合理性 ④手続の相当性 

①人員削減の必要性で、まず経営不振等により人員削減措置が必要であることが要求されます。そして、②解雇回避努力では、人員削減の手段として整理解雇を行うことが避けられないことが要求されます。整理解雇ではなく、一時休業や配転等で済ませることが出来るなら安易な整理解雇は認められない。解雇を回避する努力をしてくれと言うことです。希望退職者の募集等も解雇回避努力の一つと言えるでしょう。次に、③人員選定の合理性ですが、整理解雇にかこつけて特定の方を狙い撃ち的に解雇することは許されません。④手続の相当性では、労働組合や労働者代表と十分に協議をすることが求められています。

これらの要件は互いに関係し合っています。人員削減の必要性が極めて強ければ、他の要件が多少弱くても認められる場合もあるでしょうし、逆に、必要性が左程強くなければ他の要件をしっかりと充足する必要があるでしょう。また、②希望退職者がいるのに希望者以外を中心に解雇するというのであれば、③人員選定の合理性についても問題があると言えるでしょう。

これらの要件を今回の新型コロナウィルス感染症に伴う整理解雇にあてはめて考えてみると、①全国的な休業・自粛の影響で殆どの業種で人員削減の必要性は認められるでしょう。非常事態である今、その必要性はかなり強いものと考えられます。そして、②整理解雇を行う以前に先ず休業により対応したということであれば解雇回避努力の大きな要素になり得ます。④労働者代表と十分に協議をして③適正に被解雇者の選定を行えば、整理解雇として法的に認められる可能性は高いと考えます。それぞれ個別具体的な事案毎に判断が必要となりますが、安易に整理解雇等に踏み切るのではなく、先ずは解雇回避をご検討頂ければと思います。そして、解雇回避のために休業をさせるのであれば、是非雇用調整助成金を活用して頂ければと思います。